武士道 新渡戸稲造

 武士道とは、日本人の心に刻み込まれた倫理観なのです。武士道の基本原則は「義」「勇」「仁」「礼」「誠」「名誉」「忠義」に表されます。
 封建制度が崩壊した現代で「忠義」とは何でしょうか。筆者は国家に対する忠義と解釈しています。
 ただ、筆者の生きた時代の後の現代の私達は、国家が忠義を口にすることで起きた惨劇を知っています。また、戦後の企業に忠誠と似た働きぶりで経済大国になったことも知っていますが、近年のブラック企業等の悲惨さも知っています。
 国家や企業にさえ「忠義」の対象と見れなくなった現代では、私達は何に「忠義」を尽くすべきなのでしょうか。
 そもそも武士達は何に「忠義」を尽くしたのでしょうか。それは守るべき自分自身の信念と言えるでしょう。
 そう考えると現代の私達が「忠義」を尽くすべきは、社会正義や倫理、モラルといった価値観ではないでしょうか。