熟達論 為末大

 為末大氏の著書「熟達論」は、人生を極めるためのバイブルとして、基礎の習得から無我の境地まで、人間の成長には「遊」「型」「観」「心」「空」の5段階があると説明している。

 これは、宮本武蔵の「五輪書」になぞらえて紹介されているものであり、為末大氏自身の半生と、様々な分野の達人たちとの対話を通じて辿り着いた方法論が融合した現代の「五輪書」と言えるだろう。

 「空」を究極の段階としながらも、「遊」から始まり「遊」に戻り、人は学び続けるのだと為末大氏は言う。まるで浜辺で砂のお城を夢中で作る子どもの姿のように「空」は余韻でしかないのだ。