本紹介

おあとがよろしいようで 喜多川泰

「おあとがよろしいようで」は、喜多川泰氏の著作の青春小説です。物語は東京の大学に入学したばかりの主人公、門田暖平を中心に展開します。暖平がひょんなことから落語研究会に入部します。暖平は、自己発見と成長を通じて、個性を受け入れ、人々とのつな…

熟達論 為末大

為末大氏の著書「熟達論」は、人生を極めるためのバイブルとして、基礎の習得から無我の境地まで、人間の成長には「遊」「型」「観」「心」「空」の5段階があると説明している。 これは、宮本武蔵の「五輪書」になぞらえて紹介されているものであり、為末大…

仕事に役立つ新・必須科目「情報Ⅰ」 中山心太

「情報Ⅰ」は高校の必須科目で、プログラミングやシミュレーション、データ分析などを学ぶ教科だ。この教科は、情報技術を適切かつ効果的に活用することで、問題の発見・解決に役立つ力を育むことを目的としている。プログラミングでは、コンピュータに命令を…

アダム・スミス 「国富論」と「道徳感情論」

アダム・スミスと言うと社会科の授業で習った、「国富論」「見えざる手」を思い浮かぶ人が多いであろう。 ただ、「国富論」の前に出版した「道徳感情論」を知る人は少ないだろう。 「道徳感情論」は「国富論」の前提になる考えを説明したものだ。ここでは、…

プロフェッショナルの条件 P・F・ドラッカー

どうすれば一流の仕事ができるのか? この本は、知識社会において成果をあげるために必要なマインドセットやスキルを説いたものだ。ドラッカーはプロフェッショナルの条件として、以下の点を強調している。 ①プロフェッショナルとは、知識を使って成果を上げ…

奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業 荻野弘之

エピクテトスは、古代ローマの奴隷出身のストア派哲学者です。 彼は、自分の意志によって自由に生きることを説きました。そして、彼の教えは多くの哲学者や宗教家、文学者に影響を残しました。 この本では、本文の前に見開きで概要を漫画化されており、とて…

【推しの子】から見るしなやかな進化

若年層を中心に【推しの子】が人気だ。 主人公は「推し」のアイドルの子供に転生し、今まで知らなかった世界を知る…という内容のようだ。注)筆者はしっかり読めていません、すみません。 アイドルは一昔前では手に届かない存在、文字通り偶像であった。昨今…

「アンラーニング」のすすめ

最近読んだ二冊。分野の異なる本ですが、共通テーマは冒頭に挙げた「アンラーニング」。 「使える経営学」では、経営者や組織の能力が変わらなくても環境の変化でこれまでの戦略が歯が立たなくなるような状況では、経営学が固定観念を解きほぐし、解決策を導…

運転者 喜多川泰

運が良くない、努力をしても報われない、と思っていませんか? 運は貯めるのが先にあって溜まったら使えるもので、努力は自分以外の周囲の誰かや次世代で花開くこともあるのです。 自分の存在を自分一人の物と思っていませんか? 現在の自分は、過去から現在…

モモ ミヒャエル・エンデ

ミヒャエル・エンデの「モモ」は、時間をテーマにした児童書です。 主人公の少女モモは、人々の時間を奪う灰色の男達から人々の時間を取り戻そうと冒険を繰り広げます。 モモの人々の心を癒す力や冒険する勇気は、現代社会で忙しく働く私たちの問題点を浮き…

経営リーダーのための社会システム論 宮台真司、野田智義

宮台氏は、システムに過度に依存することは感情の劣化を引き起こし、不幸な社会を生み出すという。 この考えは独自の見解ではなく、ジャン・ジャック・ルソー、アダム・スミス、マルクス、ウェーバーなどの哲学者や思想家が示唆しているものである。 感情の…

人間とは何か マーク・トウェイン

米国の著名人たちがChatGPTなどのAIシステムに警鐘を鳴らしている。AIシステムを使って悪意ある情報を流布させたり、最終的には人間性の破壊にも繋がるとしているようだ。AIの普及が人間性の破壊に繋がるのか?AIが発展して人間と同じような回答をするように…

幸福とは何か? 長谷川宏著

ここで言う幸福とは快楽ではなく心の充足を指します。英語で言うところのhappyではなくwell-beingです。 古代ギリシャのソクラテス、アリストテレスから始まり、アラン、ラッセルまでの幸福について解説されています。近代の辺りでは脱線気味でしたが。 この…

超訳 努力論 幸田露伴 三輪裕範 編訳

「努力論」と聞くと、何か根性や気合い等、汗臭さが滲み出てきます。 幸田露伴が努力論を書いた背景には、富国強兵、国民一人ひとりの努力を国民生活の安定、ひいては国家の繁栄に必要としていた時代があったと思われます。 ただ、そのような国民国家的な思…

幸福論 アラン

今回紹介するのは、三大幸福論の一つと言われる、アランの幸福論です。 この本には、不幸にならない思考法、喜びを得る思考や行動、楽しい仕事とは何か、幸福になる行動について、哲学的でありながらも文学的な文章で書かれています。

歎異抄

「歎異抄」とは、浄土真宗の宗祖である親鸞の教えをまとめたものです。 予測不確実な現代。ビジネススキルを身に付け自己研鑽し、成果を出し続ける。多くのビジネスパーソンがこれを要求され、いったいどれほどが達成できるのでしょうか。 現状に苦悩し、嫉…

第三次世界大戦はもう始まっている エマニュエル・トッド

ロシア・ウクライナ戦争は「民主主義陣営」VS「専制主義陣営」の戦争ではなく、戦争の原因は米国とNATOにある、とトッド氏は膨大なデータとエビデンスを持って分析し断言する。 そう聞くとトッド氏は親ロシア派なのかと感じるほど、私たちはもしかしたら西側…

パーパス・マネジメント 丹羽真里

幸福度の高い組織は、生産性や売上、顧客満足、チームワークなどが高く、業績が向上するというのだ。 では、幸福度の高い組織とは何なのか。それは個人と組織の存在意義(Purpose、価値観と社会的意義)を合致させることだ。確かに報酬や福利厚生などは幸福…

バカと無知 橘玲

自分を大きく見せたり、知ったかぶり、他人が集団から逸脱すれば、叩きのめしたりマウントを取る…恥ずかしい行為だと思いながらも、実はこれらの行為はヒトが社会的動物として進化した結果だと言うのだ。 これらのヒトの習性は原始時代に群れで生きていく上…

人生の短さについて 他2篇 セネカ

自分の人生の時間を無駄遣いしていないか、本当に大切なことをできているか、と2000年前に生きたセネカが現在の私たちに問いかけます。 ただ長生きするだけが豊かな人生ではない。過去の偉人の英知を学び、未来に願望や悲観を持たず、今この時間をしっかり生…

むかしむかしあるところにウェルビーイングがありました 石川善樹、吉田尚記

最近よく耳にする「ウェルビーイング」。私が初めて目にしたのは17、8年前でしょうか、「福祉の概念がウェルフェアからウェルビーイングへ変わる」と何かのテキストに書いてあったと記憶しています。 ウェルビーイングは、「満足」と「幸福」の2項目で測定…

ビジネスパーソンの父が子どもたちに伝えたい21世紀の生き方 酒井穣

VUCAの時代と言われるようになってから久しく経ちます。このような時代にあって子を持つ我々は何を子ども達に伝えられるのでしょうか。 この本では子ども達に伝えるべきこととして、一貫として「自分の人生は自分が支配している(Ownership of your life)」…

人口減少の経済学 少子高齢化がニッポンを救う! 原田泰

日本の少子高齢化の問題として、年金崩壊や医療・介護人材の不足、地方の衰退、何より日本の国自体の国力低下が取り出されています。 この本では、色々な現行の制度が「人が余っており、かつ人口が増加していくことを前提とした制度」が問題であり、少子高齢…

生き方 稲盛和夫

ニュースを見て驚きました。京セラの名誉会長、稲盛和夫氏が亡くなられたとの事です。稲盛和夫氏の「生き方」は多くの人々に受け継がれているでしょう。 この「生き方」には稲盛氏の人生哲学が綴られています。 私達は「どう生きるか」にばかり囚われ「なぜ…

人生はゲームなのだろうか? 平尾昌弘

人生、哲学…と何か難しいと感じてしまうが、この本は平易な文章で書かれている。だが、ゲームを定義し、人生はその定義に当てはまるか?では、料理は?恋愛は?…としっかり哲学的に考えさせられる一冊だ。 人生の中には色々な環境や役割、立場等がある。私で…

21世紀の資本 トマ・ピケティ

Amazon.comで売上総合1位を記録し、アメリカでは2014年4月の発売から半年で約50万部のベストセラーを達成した本書は、とにかく分厚く文字が細かい。 r>gに表されるピケティの言う「資本主義の根本的矛盾」を解決する方法の一つとして「グローバルな資本課税…

武士道 新渡戸稲造

武士道とは、日本人の心に刻み込まれた倫理観なのです。武士道の基本原則は「義」「勇」「仁」「礼」「誠」「名誉」「忠義」に表されます。 封建制度が崩壊した現代で「忠義」とは何でしょうか。筆者は国家に対する忠義と解釈しています。 ただ、筆者の生き…

私の財産告白 本多静六

昨今、FIREなど投資ブームとなっています。 この本は、著者が貧困時代から大学教授となり、その傍ら資産運用をし巨万の富を得て、後年その財産の殆どを寄付をするという人生を綴ったものです。 70年以上前の本とはいえ、今を生きる我々に資産とは、働き方と…

DEATH 「死」とは何か シェリー・ケーガン

人は思い通りに生きてはいけない。 全ては移ろい行くもの、自分の人格さえ固定のものではない。 人はリスペクトし、リスペクトされて生きる事。 思うに、それらに気付く事が「死」の恐怖から逃れられる方法の一つではないでしょうか?

室町は今日もハードボイルド 清水克行

ここでは、室町時代の文献から当時の(現代の常識から見れば)無法地帯の様子が読み取れます。 朝廷や幕府の法律を守らず自分達の取り決めを優先したり、身内には慈悲深いのに赤の他人には盗賊行為を繰り返す当時の人々。 では、室町の日本人が不道徳で現代…