人口減少の経済学 少子高齢化がニッポンを救う! 原田泰

 日本の少子高齢化の問題として、年金崩壊や医療・介護人材の不足、地方の衰退、何より日本の国自体の国力低下が取り出されています。


 この本では、色々な現行の制度が「人が余っており、かつ人口が増加していくことを前提とした制度」が問題であり、少子高齢化が問題ではないと言い切っています。また、構造改革が進まなかった原因を「雇用維持」とし、人口減少している時代ではその雇用問題を考えないでいいので構造改革は進められると言っています。


 ただ、疑問が無いわけでもありません。まず、労働人口が減少している国は労働生産性が上昇するとしている点ですが、これは因果関係が逆ではないかと思います。労働人口が減少しているので否応なく労働生産性を上げざるを得ない。なので、手放しで上昇するのでなく、労働の現場では多くの試行錯誤が必要でしょう。


 また、日本は民主国家です。構造改革が雇用維持が原因で進まなかったのはそうでしょう、当時の労働者が最も多い有権者だったので。年金や社会保障の改革を述べていますが、今や最も多い有権者が高齢者です。そう上手くいくでしょうか。


 否定的な文章となってしまいましたが、暗い未来ばかりではありません。実際に少しずつですが、改革は進んでいます。年代による分断などなく、高齢者は若者を見守り、若者は高齢者を慈しむ。私たちの根底には幽玄の心(深い恵みと優しさ)があります。

 きっと新たな時代に制度が追いつき、明るい未来を想像できる社会になると私は信じています。

 
 
 
 
 
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