中範囲の理論 逸脱者 ~罪を憎んで人を憎まず~

 

 

 中範囲の理論とは、社会学者のロバート・K・マートンによって提唱された。これは、抽象的すぎる大理論と具体的すぎる実践理論の間に位置する、実証研究と理論とを統合することを目的とした理論だ。

 中範囲の理論の中に逸脱研究がある。マートンは、逸脱者とは、社会的規範や期待に反する行動や役割をとる人のことであり、社会的目標と手段の関係によって、適応者、達成者、退化者、反抗者、逃避者の五つの類型に分類できると主張し、逸脱の原因を個人の責任とはせずに社会の不均衡、問題であるとした。

 フィラデルフィアのスラム街で育ったマートンらしい経験則であり、罪を憎んで人を憎まずといったような人への寛容さと社会の矛盾を指摘したものだ。

 今現在においても不正等の問題が取り沙汰されているが、これらを不正を行った人たちだけの問題とせず、社会や組織の問題として皆で考えていくことが必要ではないだろうか。